日本ではたらく間に病気や妊娠したらどうしたらよいのでしょう。
この章では、セックスでうつる病気のことや病気になったら何科にいけばいいか、産婦人科や泌尿器科ってどんなところな のか説明しています。
日本で妊娠したくないときにどうするか、予定してなかったけれど妊娠したときに、日本でどうやって出産したり中絶した りするかなど、、私たちの人生と切り離すことができない性に関することを書いています。日本で生活する中で、性に関す ることでこまったときにどこに相談すればいいか、セクハラや暴力にあったときにはどうすればいいかも、ここを読むと わかります。
• そのような約束ごとは、日本ではやってはいけないことになっています。日本にくる前、日本にきた後でも「妊娠したら退職します」、「妊娠したら帰国します」という約束をしたり、そのような紙にサインするように言われても、「サインしたくありません。しなくていいはずです」と言ってください.。
• 日本の法律には、妊婦をまもる制度があります。技能実習生も、その制度にまもられています。
• 産婦人科への通院や、妊娠による体調不良のために、仕事を休むことも認められます。
• 会社で相談しても変わらない場合は、「都道府県労働局雇用環境・均等部(室)」に相談することもできます。
【 性感染症(STDS)のおはなし 】
• 好きな人が病気を持っていると考えたくないかもしれないけれど、もらわない、相手にうつさないためにもセックスをする時は必ずコンドームはつけましょう。
• コンドームにくわえて、この人、と決めた一人の人以外とセックスをしない、直接のオーラルセックスは行わないようにするなどで、性感染症をもっと予防できます。
• 知らないうちに、性感染症にかかっていることもあります。はじめてセックスをする前に、お互いに性病等の検査をすれば、知らずに大切な人に性感染症をうつさないですみますし、自分の性感染症も治せるので、おすすめです。
• なお、ピルは避妊のためのものなので、飲んでいても性感染症の予防はできません。
• 子宮頸がんは、子宮の入り口(子宮頸部) 近くにできる女性のがんです。
• ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染が原因です。
• 子宮頸がんは、すべての女性に起こりうる病気です。このウィルスは、主にセックスにより感染します。ごくありふれたウイルスで、セックスの経験がある女性なら、誰でも1度はこのウィルスに感染すると言われています。
• ウィルスに感染した子宮の入り口ががんになるまでには、長い年月がかかります。ウィルスはそこにずっといて、ゆっくりとその場所をがんに変えていくのですが、そこががんになる前や、がんになってすぐのときは、自分でもわかりません。
• 子宮頸がんは予防できる病気です。このウィルスが子宮の入り口に住み着かないようにするワクチンがあります。このワクチンは、はじめてのセックスをする前、つまりウィルスがあなたの体に入る前に打ちます。ただし、ワクチンで100%予防できるわけではありません。ワクチンを接種した後も、定期的に検査してみてもらうことが大切です。
• ワクチンを打つ前にセックスをすでに経験していても、定期的に検査に行って子宮の入り口を見てもらい、がんやがんのなりかけをはやく見つけて、ちゃんと治療すれば、ほぼ100%助かります。
• 定期的に子宮の入り口を医者に検査してみてもらうことを、「子宮頸がん検診」といいます。日本では、住んでいる市町村で、子宮頸がん検診を実施しています。無料または、とても安い値段(500円くらい)です。20歳以上の女性対象(2年に1回)です。
子宮頸がん検診をいつやるか、どうやって申し込むかなどは、住んでいる市町村で決めています。住んでいる市町村の役所や、保健所や保健センターにきいてみましょう。
• 性器が腫れている
• 月経 : 月経がとまった、周期がバラバラ、月経のときにとても痛い 。
• 帯下(おりもの): おりものが増えた、においが気になる、色がついている 。
• 不正出血: 月経以外の時期に血がでる、セックスをする時に血が出る 。
• 痛み: 月経以外にも、お腹の下の方が痛い、おしっこをするときや便をするときにいたい、セックスをする時に痛い、ちょっとしたことで腰が痛い、いつもお腹の下の方がジクジクと痛い 。
• 腫れ物 : おなかが張る、おしっこや便がでにくい、おしっこに何度も行く、太ったと感じる 。
• 外陰部(がいいんぶ): おしっこや月経血がでてくるあたりに、何かできている、かゆい、痛い 。
最初の問診で、セックスの経験を聞かれることがあります。恥ずかしいことはありません。正直に伝えてください。セックスの経験がない場合は、性器の診察に工夫をしてもらえます。
初めてみてもらうときは5000円くらいかかります。「お金がないから産婦人科に行かない」ではなく、「今日持っているお金でみてください」と言ってください。
• いまはまだ子どもはほしくない、と思うなら、避妊をすることで妊娠をさけましょう。
• 日本では、女性だけでできる避妊法が少ないです。男性の協力がとても大切です。男性は責任をもって一緒に考えましょう。
• いわゆる「安全日」(避妊しなくても妊娠しない日)はありません。月経のある女性は、いつでも妊娠する可能性があります。
日本で使える避妊法は? | どこで手に入るの? | いくらかかるの? |
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男性用コンドーム | 100円ショップやコンビニ、ドラッグストア。 在留カードなどIDを見せなくても買える。 |
1個50円〜100円。通販では100個入り1,500円 (1個15円台) のものもある。 |
経口避妊(OC) | 産婦人科。医師に診察してもらい、そのあと処方箋をだしてもらう。 | 1回目は、医師の診察と血液検査、処方箋などで約1万円かかる。2回目以降は、1ヶ月ぶんの薬が約2,000円〜3,000円。健康保険は使えません。 |
子宮内避妊器具(IUS/IUD) | 産婦人科。医師に診察してもらい、そこで入れてもらいます。いれる前に検査が必要です。いれた後も定期的に診察があります。 | 約4万円。1回入れたら、3〜5年間、効果がつづきます。健康保険は使えません。ただし、月経の痛みがひどい人は、それを軽くするために、治療として入れることができます。そのときは、健康保険が使え、約1万2,000円程度と安くなります。 |
緊急避妊薬(モーニングアフターピル) | 婦人科での診察と処方箋が必要。 | 1万円以上。 健康保険は使えません。 |
日本で使えない避妊方法
* 日本でのにんしん WEBサイトコムスタカ―外国人と共に生きる会『避妊について』
コラム:日本への薬のもちこみについて
• 日本へ1ヶ月以上の薬を持ちこんだり、海外から送ってもらうときは、輸入確認証の手続きが必要です。持ちこんだ薬をFACEBOOKなどで売買したり、友人や知人にあげたりすることは違法です。絶対にやめましょう。
• 輸入確認証の手続き:税関での手続きに2週間くらいかかります。
• 「月経が遅れている」、「妊娠したかもしれない」と思ったら、はやいうちに妊娠検査や産婦人科の受診をしましょう。
• 日本では薬局(ドラッグストア)で妊娠検査薬を買うことができます(値段:500〜1,000円)。自分で、妊娠検査薬を買ってチェックして、陽性なら産婦人科という手順が多いです。
• だいたい、妊娠に気づいた頃には5〜6週になっています。産みたいときは、妊娠中に何を気を付けたらいいか、早めに知っておきたいですし、妊娠の届を出せば、いろいろな助けが受けられます(詳しくはP60のコラム3.3)日本で出産するときめたら、何をすればよいですか?参照)。
• また、産むことができないときは、妊娠22週未満(21週6日)まで人工妊娠中絶ができます。日本では、中絶する女性や医者を罰することはありません。産婦人科で、安全に中絶できます(詳しくはP61のコラム3.5)産みたくないときは、どうすればいいですか?参照)。
• 妊娠をしたかもしれない、妊娠をしたけどどうすればいいか分からないときは一人で悩まないで、すぐに相談をしてください。
QRコードのFACEBOOKからMESSENGERで相談(最初は日本語ですがベトナム語も通じます).
思いがけない妊娠をして悩んでいる方を対象とした全国のにんしんSOS相談窓口を掲載しています。
日本での妊娠・出産について
妊娠をしてもはたらくことができますし、日本で出産することもできます。日本では、妊娠・出産を理由に会社をやめさせてはいけない、という法律があります。妊娠や出産をしながら働く女性を、法律で守っているのです。外国人技能実習生が妊娠してもこの法律で守られます(技能実習手帳P29にも書いてあります)。 困ったときは、相談してください。
* 外国人技能実習機構(ORGANIZATION FOR TECHNICAL INTERN TRAINING: OTIT) 技能実習生手帳(ベトナム語版)
• 日本の法律では、妊娠22週未満(21週6日)まで人工妊娠中絶できます。
• 日本の法律で認められている中絶の方法は、手術です。入院しなくてもいい場合も多いです。中絶手術は、妊娠初期(12週未満)と、それ以降とでは手術方法がちがい、女性のからだに与える影響にもちがいがあります。もし中絶をするなら、はやく決めるほうがからだへの負担は少なくなります。
• 中絶手術には保険がつかえません。クリニック・病院によって違いますが、妊娠初期の場合で10万円前後となります。妊娠中期で入院が必要となる場合は、入院費について事前に病院に確認してください。
• 中絶をしたあとに、からだやこころにいろいろな変化が出ることがあります。
* からだ…中絶のあと、出血が長く続いたり、つぎの月経がくるのがはやくなったり、遅れたりすることがあります。
*こころ…悪いことをしてしまった、という気持ちから、気分が長いこと落ち込むことがあります。また、妊娠がわかって中絶を決めるまでのあいだに、パートナーが信じられなくなってしまう女性もいます。
• これらの変化は、誰に起きても不思議はないことです。心配なときは、産婦人科や、こころの相談ができるところに、まよわず相談しましょう。
• 出身国から中絶の薬を送ってもらったり、自分で持ちこんだ薬を飲んで中絶すると、日本の法律で罰せられます。
また、医師の診察をうけずに薬を飲んで中絶するのは危険です。
• 困ったときは、すぐに相談をしましょう。
<男性へのメッセージ>
もし、彼女と話し合って中絶を選択したら、彼女を支え、一緒に乗り越えましょう。
すぐに相談をしてください。医師に相談をせずにあなたひとりで出産をした後に子どもが亡くなったら、日本の法律で罰せられる場合があります。妊娠が分かったらどんな場合でも医師に相談しましょう。
* 日越ともいき支援会 ホームページ(日本語)
QRコードのFACEBOOKからMESSENGERで相談(最初は日本語ですがベトナ
ム語も通じます)
• 「レイプ」 や「ちかん」は日本の法律では性犯罪です。
• いつ、どこで、だれと、どのような性的な関係を持つかは、あなたが決めることができます。望まない性的な行為は、性的な暴力になります。
• 性的な暴力は、年齢、性別にかかわらず起こります。
• 身近な人や夫婦・恋人の間でも起こります(3.7へ)。
• 性犯罪・性暴力は決して許されるものではありません。つらいこと、不安なことについて一人で抱え込まず、まずは相談してみましょう。
* SNSによる性暴力の相談窓口
「CURE TIME(キュアタイム)」
性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター一覧
• 全国の性犯罪・性暴力に関する相談窓口の一覧です。
• 産婦人科医療やカウンセリング、法律相談などとも連携しています。
• DV*(パートナー関係にある、またはあった人から振るわれる暴力)は犯罪で、決して許されるものではありま
せん。
• 日本には、「DV 防止法」**といって、パートナーからの暴力をうけている人を守るための法律があります。この
法律は日本にいるすべての外国人にも適用されます。
• ひとりで解決することは難しい場合が多いので、相談してください
*Domestic Violence (DV)
*DV防止法:配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律
被害者周辺の日本人向け参考情報
内閣府 男女共同参画局 ドメスティックバイオレンス(DV)とは(日本語)
DV被害者は、在留資格の有無を問わず、保護される(入管庁審第26号)
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